子牛のサルモネラ症が増えています

 以前は珍しかった子牛のサルモネラ症

 数年前から増えてきました

ここ3,4年 子牛のサルモネラ症がとても増えています。数年前まではサルモネラは怖いけど滅多に出るものじゃないし…..なんて感じでしたが。

今では育成牧場(濡れ子を導入して素牛まで育てる)でする着地検査(セリで購入した牛を牧場に下ろす前にサルモネラの検査をします)でも度々陽性牛が出ます。また、下痢の原因を調べるとサルモネラが出ることも珍しく無くなりました。

 症状は血便?

特にサルモネラ・ダブリンとサルモネラ・ティフィミリウムです。

症状は様々で一番に頭に浮かぶ血便はもちろん、血便ではなく特にやばい感じがしないけど治りにくい下痢のケース、肺炎症状のみの場合もありますし脳炎の様にいきなりぶっ倒れる様な牛も居ました。

反対に着地検査で陽性になった牛の多くは無症状であり、一応下痢便を調べた牛でティフィミリウム陽性の牛で血便も無く、3日程度の抗生物質投与でケロッと直る牛も居ます。

 検査すれば陽性・陰性は判るの?

問題になるのは無症状の牛と激烈な症状を出す牛です。ある牧場では着地検査をしていたのに、生後3ヶ月くらいの群で次第に死亡事故が増えてきました。明らかな下痢症状は無く鼻と腸から採剤して、血液も何度も調べましたが原因が判らずという事がありました。

血液や腸のスワブ、便では検出されにくいというのもサルモネラのたちの悪いところです。

検査が陰性でもサルモネラを保菌しているという状況は当たり前にあります。つまり導入時陽性にならず保菌していた牛が、ストレスがかかるタイミングで発症し他の牛が感染していたのです。

急激に広がるサルモネラもありますが、じわじわ広がり死亡事故がだらだら続くというパターンもあるのです。

 治療はニューキノロン系抗生物質でOK? 

激烈な症状を出すサルモネラの場合、個人的にはダブリンで多いように思いますが、ニューキノロン系抗生物質を使って治療して改善したと思っても、しばらくすると再発する事があります。

それを繰り返して次第に衰弱してしまいます。NOSAIに糞便検査を依頼してサルモネラ陽性となると、陰性になるまで治療と検査を繰り返す様な場合もあります(当方では陽性牛でも陰性になるまで検査を繰り返す事はありません)が、ニューキノロン系抗生物質だけではなかなか陰性にならないのです。

ニューキノロン系抗生物質だけではサルモネラ(特にダブリン)を完治させるのはむずかしいのです。

サルモネラといえば血便ですが、ややこしい事に必ず血便が見られるというわけではありません。コクシジウム症で必ずしも血便が見られないのと同じです。